4月6日(金)

この数日、生徒さんからお借りした「ターシャ・チューダ」のDVDを見て
懐かしいイギリスの田舎での生活を思い出しています。
ターシャは、アメリカ人ですけど緑一杯の風景に広がる花々の景色は、
私がイギリスで過した楽しい時間を思い起こさせるのです。



イギリスに遊学(?)していたのは、もう10年も前。
「女の子が一人で留学なんて!」っと反対されてきたのですが仕事の区切りが付いたので
念願だったイギリスへ3ヶ月の約束で留学してもいいという許可を両親からもらったのでした。
イギリスでは、午前の授業を終えると午後からはコッツウオルズの村巡り。
お弁当を持って野原で楽しいランチの後は、ティールームでお喋り・・・・・。
本当に楽しい日々でした。あまりにも楽しかったので、もう3ヶ月延長。
日本の両親にその許可をもらったので、帰りの飛行機のチケットもキャンセルしたのです。
そして、飛行機会社にキャンセルの電話を入れた日・・・・・・
午後のレッスンで、「デビルスチムニー」(悪魔の煙突)と呼ばれる石碑を見に行く事になりました。
イギリスの観光地で有名な「ストーンヘンジ」のように何故、こんなものをこんな所に・・・という巨大な石碑。
山の斜面にどうして煙突のような石碑が建てられたのか・・・と、私の住む
田舎の町の観光スポットだったのです。
先生の車でデビルスチムニーの山まで上り、丘の上の原っぱへ車を停めました。
そこで先生が
「ここには、お店なんかないし誰もいないからカメラだけ持って、カバンは車に置いて行きましょう!」っと。
広い原っぱには人影は勿論、駐車場に車で行く間に誰も見かけませんでした。
そして、先生と一緒になぞの石碑悪魔の煙突「デビルスチムニー」へ。
写真を撮った後、車に戻ったのでした。
そして、私と先生が目にした物は・・・・・・。
何と!バリバリにガラスが割られた先生の車。
あまりのひどさに心臓がバクバク、恐怖心で体がガクガク震えて止まらなかった事を覚えています。
「オ〜オ・マイ・ゴッド!!」
窓ガラスが割られてカバンが盗まれてしまったのです。
学校の教科書、日本の友達の住所録・ホームステイしていた家の鍵・そして運の悪い事に
へそくりの日本円5万円にスペイン旅行から帰ったばかりで両替しようと思っていた
スペインのペセタ5万円相当、現金10万円も盗まれてしまったのです。
そして、キャンセルしたばかりの帰りの飛行機チケットも。
ホームステイしていたのは、マンション。
エントランスのキーと玄関のキーの2つを盗まれてしまい住所も手帳に書き込んであった為
マンション中の住人がエントランスの鍵を交換し、その代金を私が弁償する事に。
とにかく盗まれた時に連絡をするカード会社の電話番号など大切な事を書き込んだ手帳も
取られてしまった為、どこに連絡したらいいのかさえ分からない。
そして、日本は夜中の2時。家族を電話で叩き起こして対処してもらったのです。
あまりのショックに「もう日本に帰りたい!」っと思ったものの、帰りの飛行機のチケットを
キャンセルしてしまった上に、キャンセルしたチケットも一緒に盗まれてしまった。
どうにもこうにもイギリスにいるしかない・・・・・。
しばらくショックから立ち直れませんでした。
周りのイギリス人、学校の友達に励まされ、それから5ヶ月をイギリスで過ごしたのです。
イギリスから帰国して、毎年、イギリスを訊ねています。
今、思うとあの時にイギリスから帰国していたとしたら
「イギリスには二度と行きたくない!」っとイギリスの思い出は最悪だったでしょう。
今では、あの事件も貴重な体験。異邦人の私には大きな教訓となりました。
そして、あんな事件はありましたけどその後、滞在したお陰で
イギリスにもイギリス人にも友達にも支えられ、楽しい時間として今も思い出されるのです。
そう思えるようになったのも周りの人の「愛」、本当に感謝しています。